「誰かが言った……『世の中のすべての食材に感謝を込めて、いただきます』と。」
石丸謙二郎氏によるナレーションとともに、トリコと小松が未知なる食材を求めて冒険を繰り広げる『トリコ』。2011年4月から2014年3月まで全147話が放送されたアニメ版は、豪快なバトルと独創的な世界観で多くの視聴者を掴みました。
2026年8月現在、原作の後半にあたる「グルメ界編」の映像化について、公式からの発表はありません。一方で2026年に入ってからは、YouTubeでの全話無料配信企画の完走や、アニメ放送15周年を記念したPOP UP SHOPの開催など、作品を再び動かす動き自体は続いています。ここでは公式の最新状況を整理したうえで、制作会社である東映アニメーションの動向と、未映像化の原作ボリュームから続編の現実味を考えていきます。
『トリコ』グルメ界編のアニメ化はいつ?2026年8月時点の最新状況
まずは、公式サイトや公式Xで確認できる範囲の事実関係を押さえておきます。
2026年8月現在も続編制作に関する公式発表は行われていない
東映アニメーションの『トリコ』公式サイトおよび公式Xを確認しても、2014年3月のテレビシリーズ終了以降、新作アニメや続編の制作を告知する情報は出ていません。放送終了から12年、原作の連載終了(2016年)からも10年が経過していますが、テレビシリーズの続編、劇場版、リメイクのいずれについても正式な発表はない状態です。
TVアニメ『トリコ』公式サイト
『トリコ』公式X(旧Twitter)

YouTube全147話無料配信は2026年4月に完走して終了した
続編そのものの発表はないものの、2024年11月からはアニメ全147話をYouTubeで順次無料配信する企画が実施されていました。前半は「最強ジャンプチャンネル」、後半の第75話以降は「東映アニメーションミュージアム」チャンネルで配信され、2026年4月16日をもって全話の配信を完走して終了しています。
1年半近くにわたって全話を無料開放する企画は、権利元が作品への新規流入を作りにいっていた表れと見ることができます。ただし配信企画の実施が続編制作を意味するわけではないため、あくまで作品露出の維持策として捉えておくのが妥当でしょう。
2026年5月にはアニメ放送15周年記念のPOP UP SHOPが開催された
アニメ放送開始から15年にあたる2026年5月15日から24日にかけて、渋谷モディでメディコス・エンタテインメント主催の「『トリコ』アニメ15周年記念 POP UP SHOP」が開催されました。このイベントのために黒スーツ姿の新規描き下ろしイラストが用意され、アクリルスタンドやイラストカードなどの新商品が展開されています。
新規イラストを起こしてグッズ展開が行われるということは、少なくとも権利元がIPを休眠扱いにしていないことを示しています。とはいえ物販イベントとアニメ新作の制作はまったく別の投資判断であり、ここから続編を読み取るのは早計です。
東映アニメーションの続編制作間隔から考える『トリコ』再始動の現実味
『トリコ』を制作した東映アニメーションは、過去作を長い年月を置いてから復活させた実績を複数持つスタジオです。同社が過去シリーズを再始動させるまでにどれくらいの期間を要してきたのかを整理すると、『トリコ』の12年という空白がどの程度の長さなのかが見えてきます。
| 作品 | 前シリーズの終了 | 再始動した新作 | 空白期間 |
|---|---|---|---|
| ドラゴンボール | ドラゴンボールGT(1997年) | ドラゴンボール超(2015年) | 約18年 |
| デジモンアドベンチャー | 第1作(2000年) | デジモンアドベンチャー:(2020年) | 約20年 |
| SLAM DUNK | TVシリーズ(1996年) | THE FIRST SLAM DUNK(2022年・劇場版) | 約26年 |
| トリコ | TVシリーズ(2014年) | 未発表 | 12年経過(2026年時点) |
この並びで見ると、『トリコ』の12年という空白は、同社の復活事例のなかではまだ短い部類に入ります。18年、20年、26年という前例がある以上、「12年も音沙汰がないから絶望的」とは言い切れません。逆に言えば、東映アニメーションが過去作を動かす際は、周年や原作記念といった明確な契機とセットになっている場合が多く、単に時間が経っただけでは動かないとも読めます。
2026年の東映アニメーションは既存看板シリーズで制作ラインが埋まっている
2026年の同社は、2月1日に放送を開始したプリキュアシリーズ第23弾『名探偵プリキュア!』に加え、ドラゴンボール関連の新規プロジェクトが動いています。2026年1月に開催されたドラゴンボール40周年記念イベントでは、『ドラゴンボール超 ビルス』の2026年秋フジテレビ放送と、『ドラゴンボール超 銀河パトロール』の制作決定が発表されました。
毎年更新される看板シリーズに加え、同一IPで2本の新規プロジェクトが並走している状況です。制作ラインとプロデュース人員には限りがあるため、この状況下で『トリコ』の大型続編に着手するハードルは高いと考えられます。仮に企画が動いていたとしても、発表は先行するプロジェクトが一段落した後になる可能性が高いでしょう。
原作15周年記念PVと累計3000万部という実績はIPの価値を示している
原作連載15周年にあたる2023年には、記念PVの公開やABEMAでの声優出演特番の放送など、複数の記念企画が実施されました。原作コミックスは全43巻で、2023年8月時点の累計発行部数は3000万部を超えています。この数字は、続編制作を検討する際の投資判断において一定の説得力を持つ規模です。
ただし、同規模の実績を持つジャンプ作品が数多く存在するなかで、どの作品に制作リソースを割くかは別問題です。累計部数だけで続編が決まるわけではない点は押さえておく必要があります。
未映像化のグルメ界編は原作14巻分──アニメ化した場合の規模を試算する
続編がどの程度の規模になるのかは、原作の残りボリュームとアニメ第1期の消化ペースから概算できます。
アニメ第1期は原作29巻途中まで、残りは30巻から最終43巻まで
アニメ版『トリコ』は原作29巻あたりの「クッキングフェスティバル編」の途中まで映像化し、そこからアニメオリジナルの展開で独自の結末を迎えました。当時は原作の連載が継続中だったため、物語の核心であるグルメ界に踏み込む前に終了した形です。
- 原作コミックス:全43巻(2016年完結)
- アニメ映像化範囲:1巻〜29巻途中(全147話)
- 未映像化範囲:30巻〜最終43巻の約14巻分
- 主な未映像化エピソード:グルメ界への突入、八王との遭遇、アカシアのフルコースの捕獲、NEOとの決戦
原作消化ペースから逆算すると続編は約70話規模になると推定される
アニメ第1期は147話で原作約28.5巻分を消化しており、単純計算で1巻あたり約5話のペースです。この配分をそのまま当てはめると、未映像化の14巻分は約70話、クール数にすると6クール前後の分量に相当すると推定されます。
これは1年半程度の長期放送を要する規模であり、深夜1〜2クールの企画としては収まりません。逆に、バトル描写を整理して圧縮する構成を取るなら2クール前後まで詰めることも理論上は可能ですが、その場合はグルメ界編の見せ場である長期戦の密度が落ちるというトレードオフが生じます。どちらの形を選ぶかで企画の性格が大きく変わるため、仮に続編が動くとすれば、この配分の判断が最初の分岐点になると考えられます。
グルメ界編はスケールの大きさゆえに制作負荷も大きいと予想される
グルメ界編は、人間界とは隔絶した環境と、規格外のスケールを持つ食材・生物が次々に登場するパートです。地球を一周する規模の生物や、大陸単位の地形変動を伴う戦闘が描かれるため、映像化にあたっては3DCGを含む大がかりな作画設計が必要になると予想されます。近年の技術であれば表現自体は可能ですが、その分だけ制作コストと期間が膨らむ点は、企画化のハードルとして無視できません。
アニメ『トリコ』を配信で見返す・原作の続きを読む方法
YouTubeでの無料配信が2026年4月に終了したため、現在アニメ本編を見るには配信サービスを利用することになります。
TVシリーズ全147話は主要VODの見放題対象になっている
2026年8月時点で、U-NEXTではTVシリーズ全147話に加えて劇場版も見放題の対象に含まれています。dアニメストアでもTVシリーズは見放題で配信されていますが、劇場版の扱いはサービスによって異なるため、劇場版まで通しで見たい場合は配信状況を確認してから選ぶとよいでしょう。続編の発表を待つあいだに人間界編を復習しておくと、グルメ界編を原作で読み進める際の理解がスムーズになります。
各サービスとも初回登録時の無料お試し期間が用意されているため、まずは対象作品と配信状況を確認したうえで登録先を決めるのがおすすめです。
アニメの続きは原作29巻・30巻から読める
アニメ最終回の続きから物語を追いたい場合、原作29巻・30巻あたりが読み始めの目安になります。ここから舞台はグルメ界へ移り、八王との遭遇やアカシアのフルコースを巡る旅を経て、全43巻の完結まで一気に進んでいきます。アニメがオリジナル展開で終わっている関係上、29巻から読むと原作本来のクッキングフェスティバル編の決着も確認できます。
該当巻はBOOK☆WALKER、Renta!、漫画全巻ドットコムなどで購入でき、電子版なら29巻・30巻だけを先に読むことも、全43巻をまとめて揃えることもできます。価格やポイント還元は書店ごとに異なるため、読みたい巻の販売ページを見比べてから選ぶとよいでしょう。
『トリコ』のアニメ続編(グルメ界編)に関するよくある疑問
完全新作としての再アニメ化の可能性はある?
現時点で公式発表はありませんが、東映アニメーションが過去作を長期の空白を経てリブート・リメイクした前例は複数あります。アニメ版が原作と異なる結末を迎えている以上、続きだけを作るより最初から作り直す方が構成上は整理しやすいという見方もでき、リメイク形式での再始動の可能性はゼロではないと予想されます。ただし、これはあくまで前例からの推測であり、企画の存在を示す情報は確認されていません。
アニメ独自の結末からグルメ界編へ繋げることはできる?
アニメ版のラストは原作と異なる独自展開のため、そのまま原作30巻以降に接続すると設定の食い違いが生じます。続編として制作する場合は、アニメ独自要素をどう処理するかの再構成が必要になると考えられます。前例としては、独自展開の分岐点まで戻って作り直すパターンと、独自要素を無かったことにして原作準拠で再開するパターンの双方があり、どちらを選ぶかは制作側の判断次第です。
原作者の島袋光年氏は現在どのような活動をしている?
『トリコ』連載終了後、島袋光年氏は2020年11月に『週刊少年ジャンプ』で新連載『BUILD KING』をスタートさせています。原作者の活動状況は続編制作の直接的な判断材料にはなりませんが、『トリコ』のグッズ展開で新規描き下ろしイラストが継続して用意されている点は、作品への関与が途切れていないことを示しています。
続編が発表されるとしたらどのタイミングが有力?
東映アニメーションが過去作を動かす際は、周年イベントや記念企画とセットで発表される傾向があります。『トリコ』の場合、原作連載開始20周年にあたる2028年が一つの節目として意識される可能性はあると予想されます。ただしこれは前例からの推測であり、公式に示された予定ではありません。
まとめ:続編は未発表だが、IPは動き続けている
2026年8月現在、『トリコ』グルメ界編のアニメ化に関する公式発表はありません。一方で、2026年4月まで続いたYouTubeでの全147話無料配信、5月のアニメ15周年記念POP UP SHOPと新規描き下ろしイラストの展開など、IPを維持・露出させる動きは継続しています。東映アニメーションが18年、20年、26年といった長い空白を経て過去作を復活させてきた実績を踏まえれば、12年という現在の空白をもって可能性を否定する材料にはなりません。
ただし2026年の同社は『名探偵プリキュア!』とドラゴンボール関連の新規2プロジェクトで制作ラインが埋まっており、約70話規模と試算されるグルメ界編の映像化がすぐに動く状況とは考えにくいのが実情です。続報を待ちながら、まずは原作30巻以降で、トリコと小松がグルメ界で辿り着いた結末を確かめてみてください。

